最近のフィルムの傾向として色振れが大きい、もっと的確な表現としては再現できる領域が狭い、その狭い領域を何とかプリントテクニックでカバーするために手間をかけていたのですが、その手間を、狭い領域に集中させてみました。
本来と言うか、アナログ全盛時代のネガフィルムは、YMCの再現傾向をグラフに現した場合、3色の平行性が確保されているのは-2~+3、EV値にして5段分は確実、さらにオバー側ではうまく扱えば+5ぐらいまでは使える領域でした。
しかし昨今のネガフィルムはこの領域が、EV値にして3段分、それ以外ではYMCが分散してしまって、その分散した色の中から、ニュートラルグレーを引っ張り出しても、それ以外の部分(背景)は補正しきれない。
(上にも下にも0.3段ほどしか余裕のないリバーサルフィルムに比べると十分に広いとは言えますが。)
という事で、添付画像を確認して下さい。、真ん中のライン3枚、この3枚は上から標準(iso800)、真ん中が+1(iso400)下が+2(iso200)で撮影しています。
つまり、このフィルムを、iso400として使うと、アンダー側に1段、オーバー側に1段、余裕があると考えることができます。
できるだけ失敗を避けたい場合は、iso400で使うと、使いやすいと考えることができます。
向かって左側は下段が-1(iso1600)、上段が-2(iso3200)で撮影したものです。
この領域では、Y(イエロー)がプリンターの補正能力が追い付かないほど不足します。
向かって右の上段は+3(iso100)下段が+4(iso50)での撮影、このラインではMが不足していきます。
このラインはメインの被写体に対しての補正はかかりますが、元ネガの性能が崩れていますので、背景はどんどんマゼンタに転びます。
真ん中のラインは、ご覧の通り、ネガフィルムらしく、バランスが崩れない領域です。
ニュートラルグレーを濃度計レベルで観察しても同じ色に調整でき、背景も崩れません。
今までのネガフィルムより扱いは難しくはなりましたが、上記の事に注意すれば、ネガフィルムの豊かな再現性とトーンはまだまだ健在です。
また、PORTRA800-2は、元の感度が高く、実行感度もちゃんと800を確保できてる事などを考えると、優秀なフィルムと言えますし、プロフェッショナルフィルムですから、扱いが難しいのは当たり前で、そこがまた面白い部分と考えることもできます。
使いこなしは難しくてもそれを補って尚且つ、おつりが帰ってくる画像の美しさはデジタル画像では再現できないほど高レベルです。
注意点としては、冷蔵庫(ちゃんとドアの付いたしっかりしたもの)で管理したものを購入すること、撮影後はできるだけ迅速に現像処理を行うことです。
もちろんプリントはアナログをお勧めします。
この情報が皆様の充実した写真ライフの手助けになれば幸いです。