top of page

Column StudioCheese Analog photography

Column Vol.4 レンズの性能を引き出す
May.5.1999

レンズの作り出す映像は、本来とてもデリケートです。収差と呼ばれるのが、その最たる物です。かつてのレンズ設計者達は、収差をいかにコントロールするか、そして豊かなトーンをどう残すかに、苦心し命を削って来たとも言われています。

こうして生み出された様々な名レンズ達も、レンズに斜めに入った光は斜めにフィルムに当たります。平面状のフィルムは、斜めに当たる光も当然何の問題も無く記録します。

 

ところが、デジタルカメラに使われるCCDやCモスといった画像記録デバイスは、構造上の理由から、記録面に垂直に当たる光しか正しく記録することができません。つまり、CCD等のデジタルデバイスは、デバイス側からの制限をレンズに掛けてしまいます。この制限があるため、デジタル専用レンズ以外のレンズは、CCD等のデジタルデバイスに適しているとはいえません。

 

これらの事柄を踏まえると、何をどう用いればレンズの持つ元来の性能を引き出せるのか?と言う答えは自然に導かれるでしょう。

写真文化を担って来た歴史的価値のあるレンズは皆、今でも健在です。それらの性能を最大限に引き出せるのは、やはり銀塩フィルムだけなのです。

Column Vol.3 大切な思い出を残すには
May.5.1999

大切な思い出を写真の形にして残すには、ネガフィルムで撮影された銀塩アナログプリントが最適です。デジタルカメラで記録された画像データーは、いつ消えてしまうかも知れない不安定な物です。ましてや、画像データーの状態では、コンピューター・モニターといったデバイスが側にないと、見る事ができません。

この先、コンピュータの仕様が変化すれば、当然見ることのできる画像形式も変化します。保存媒体の主流であったフロッピーディスクのような運命が待っているのです。今では、ほとんどのコンピューターにフロッピーディスクドライブは装備されておらず、情報を取り出すことすらできません。CDやDVDについても、いずれ同じ道を辿ることになるでしょう。

 

デジタル技術は、良くも悪くも、コンピュータに支配されています。コンピュータの進化なくしてデジタルの進歩もありません。このコンピューター自体が発展途上にあり、今後ますます処理能力は上がり、膨大なデータを処理できるようになるのです。その進歩に、今現在デジタルカメラに用いられているCCDやCモスといったデジタルデバイスは応えることができるでしょうか? 残念ながら No! です。いずれ別の記録デバイスが必要となります。

デジタル技術は、生まれたばかりの発展途上の技術であって、安定期に入っているわけではありません。新しい技術の全てが万全な技術とは限らないということに、どうか気が付いてください。

 

​アナログプリンターとデジタルプリンターの違い

せっかくネガフィルムで写真を撮っても、デジタルプリンターで焼いてしまっては台無しです。残念ながらデジタルプリンターでは、ネガフィルムの持つほぼ無限大の諧調情報を再現することができません。情報を256階調まで落とし、荒いデーターに置き換えたうえで、ドットとしてレーザ光で焼き付けてしまいます。

これは、デジタルカメラが256階調を基に画像を作り出すことに起因しています。デジタルプリンターは、デジタルカメラによって得られたデジタルデーターをプリントするための機械です。ネガフィルムに写し込まれた豊かな諧調をプリントするには、不十分な機械です。

つまり、大切な写真をより美しく、そして未来へ確実に残すには、ネガフィルムで撮影し、アナログプリンターで銀塩アナログプリントしておくことが最善の方法なのです。

Column Vol.2 ネガフィルムで撮る利点
May.5.1999

リバーサルフィルム(ポジフィルム)は、現像を完了した時点で、絞り5段階分ほどの再現域を持っています。このため、リバーサルフィルムからプリントする際、再現域にロスが出てしまい、およそ3段分の再現域しかプリントできません。

 

一方、明暗と色とが共に反転した状態で記録されるネガフィルムは、現像完了時にリバーサルフィルムの倍近い約10段階分の再現域を持っています。

 

ネガフィルムから写真をプリントする時は、その広い再現域の中から、必要十分な5段階分の情報を選り出して焼き付けます。しかも、ネガの特色であるオレンジベースがマスキングの役割を果たし、3色分解記録時に生じてしまう色の濁りを除去してくれます。

リバーサルフィルムは元々、透過光で見ることを前提としており、残念ながらオレンジベースを持っていません。つまり、プリント時に色の濁りを除去することができません。

 

このように、ネガフィルムはリバーサルフィルムの弱点を解決するために研究開発され、発展してきたフィルムです。ネガフィルムは、プリントを作ることにおいて最高の素材だといえるのです。

Column Vol.1 赤ちゃんとアナログ写真
May.5.1999

写真は思い出を残し、さらには未来に現代を伝えることのできる大切な物です。それ故、現代における最高の技術を使うことが望ましいといえます。目覚しい進歩を遂げているかのように思われているデジタル技術はどうでしょう?じつは、まだデジタル技術は「最高」とは言えません。明らかに発展途上の技術です。

スタジオ・チーズは、目先の新しさに惑わされることなく、今現在最高の技術である銀塩アナログプリントを尊重し、かけがえの無い「今」を残すことを、最も大切な信念としています。

 

​赤ちゃんとアナログ写真

人の肌色は、どのように生み出されているかご存知ですか?

光が肌の表面で反射した色を目にしている訳ではありません。肌の表皮を通過した光が、その奥の真皮、さらには奥の肉にまで染み渡り、そこからもう一度外に染み出して来た色が、私達が見ている肌の色なのです。赤ちゃんの肌は特に薄いため、大人よりも繊細な色彩をしています。そうした微妙な色彩の再現は、残念ながらデジタルカメラやデジタルプリンターでは出来ません。

人の肌色を過不足無く記録できるのは、ほぼ無限大に階調を記録できる銀塩ネガフィルムと、その性能を引き出せるアナログプリントしか有りません。こうした理由から、生まれたての赤ちゃんを撮るというライフワークを持つ私は、デジタル化の波に乗ろうとは決して思えないのです。

bottom of page